僕は笑う。
 それはきっと、大丈夫だということを知っているから。
 忘れかけていたけど、思い出したのはもう6年前になるあの時だ。
 辛いけど、辞めたいだなんて思わなかった。目まぐるしく時間は流れて、ただずっとあの人に見捨てられないように、走って着いて行った。何度だって泣いたさ。泣きながら仕事をして、家でも泣いて、それでも僕はあの人の背中を追いかけた。
 悔しさは糧だ。かけられる声は厳しくも、やっぱり僕の糧だった。
 認められることだけがただ僕の希望だった。
 あの時のように素直に受け止められる純粋さやヤル気を僕は、何処で落としてしまったのか今は手の中には持っていない。
 辛いから辞めたいだなんて、そんな理由で止めてしまう僕じゃなかった。
 
 今の僕にあるのは"乗り越えられた”その実績だけだ。
 だから、今回だって大丈夫さ。
 僕は笑っている。
 歳が増えた分、かかる重圧は大きくなったかもしれない。前のようじゃ許されないかもしれない。
記憶とは違って、戸惑っているのかも。
 だけど、変わらないはずだ。1つ1つ乗り越えていけばいいだけのこと。
 僕は信じてる。
 大丈夫、そう簡単にへこたれる自分じゃないだろ?
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